日豪 環境人材育成に関する意見交換会

日豪環境人材育成に関する意見交換会 開催報告

photo01環境人材育成コンソーシアム準備会は、国際交流・協力事業の一環として、2009年5月26日、 日豪 環境人材育成に関する意見交換会を開催致しました。

意見交換会には、成蹊大学名誉教授であり、当準備会の代表幹事を務める廣野良吉氏をファシリテーターに迎え、また、日本、豪州の各大学で環境人材の育成に取り組んでいる参加者の方々、コンソーシアム準備会の会員(希望者)にご出席いただき、高等教育機関における環境人材育成についての情報共有及び意見交換を行いました。

最初に、豪州の取組について発表がありました。まず、モナッシュ大学モナッシュ持続性機関長であるジョン・トゥウェイス氏より、同機関における持続可能性に関する人材育成の取組について、紹介がありました。同機関は、大学内外や産業界の関係者とも連携し、学際的研究チームを構成し、環境問題解決に貢献する国際的レベルの研究成果をあげることを目標として活動しているとのことです。

次に、RMIT大学デザインセンター長を務めるラルフ・ホーン氏より、デザインによる持続可能性について発表がありました。ホーン氏は、気候変動への対応には、グリーンジョブの創出が不可欠であり、そのための技能向上が必須であるとの指摘した上で、デザイン分野から持続可能性に貢献するため、研究や研修、製品製作など様々な活動を行っていると述べました。

続いて、グリフィス大学グリフィス工学スクール、ナチュラルエッジプロジェクト教育ディレクターであるシェリル・デシャ氏より、同スクールの取組についての説明がありました。喫緊の環境問題に対する大学の対応として、迅速なカリキュラム再編が求められる一方で、大学内での意識向上や共通の認識の醸成、カリキュラム監査など、依然として課題が多いとのことでした。

引き続き、サザンクロス大学経営大学院ディレクターであるイアン・エディー氏より、経営大学院の取組として、持続可能な経営のための経営教育とMBAの再編についての説明がありました。MBAのカリキュラム開発では、特にリーダーシップ養成、金融・人的・環境資源を管理し、社会経済の利潤を最大化、環境影響を最小化する組織的戦略、理論の適用や実践を通じた組織的行動に重点を置いているとのことでした。

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次に、ニューサウスウェールズ大学太陽光発電と再生可能エネルギー工学スクール長のリチャード・コーキッシュ氏より、アジア太平洋地域における太陽光発電産業の拡大のための豪州の教育と研修について説明がありました。ニューサウスウェールズ大学では、学部では工学プログラム、大学院では工学科学修士・博士課程(光起電力技術と太陽光発電)を設置し、人材育成を行っています。

豪州の取り組みを共有した後、日本の取組についての発表を行いました。まず、中部大学国際ESDセンターの鵜野公郎氏より、中部大学における環境人材育成の取組についての説明がありました。中部大学のESD教育では、リーダーシップ養成、人的ネットワーク形成、異文化交流を重視しており、そのための国内外フィールドワークをプログラムに取り入れているとのことでした。

次に、上智大学経済学部経済学科、地球環境研究科教授である鬼頭宏氏より、上智大学の取組として、地球環境リテラシー教育についての紹介がありました。上智大学では、ESDを教養教育に確立させること、そして環境リテラシーの重要性を高めていくことを目的とした学部教育の再編に取り組んでいるとの説明がありました。

続いて、環境人材育成コンソーシアム準備会事務局の太田絵里氏より、準備会設立の経緯と概要についての説明がありました。日本の環境人材育成において、大学間や学内外の連携が弱い現状を踏まえ、コンソーシアムでは環境人材育成に係る情報交換や交流の場を提供していくことが重要であると述べました。また、今後のアジアへの活動の拡大、国際連携の強化についても言及されました。

最後に、国際連合大学高等研究所の上席研究員である名執芳博氏より、アジア太平洋地域の高等教育機関ネットワークであるProSPER.Netの取組が紹介されました。ProSPER.Netでは、①共同カリキュラム開発と、学校での公共政策及び持続可能な開発の普及、②ビジネススクールのカリキュラムにおける「持続可能な発展」への理解の普及、③持続可能な開発のための教育者及び研究者の研修、という3つの主要な共同事業を行っているとのことでした。

その後の意見交換では、両国の高等教育機関における環境人材育成のための可能性について、様々な意見が出されました。

サザンクロス大学経営大学院のエディー氏は、日本と豪州は、ともに環境への取組や高い技術力、幅広い海外ネットワークを有していると指摘した上で、資源共有のための協力体制の構築が可能ではないかと提言しました。

また、研究手法の相互開発やデュアルディグリー、交換留学制度の充実化など、より幅広い連携の必要性が共有され、それに対する両国大使館の制度的支援体制の充実化も求められました。

環境人材コンソーシアムは、様々なステークホルダーが情報交換や交流を深めるためのプラットフォームとして機能することへの期待が確認されました。