第1回持続可能なアジア太平洋に関する国際フォーラム(ISAP2009)

第1回持続可能なアジア太平洋に関する国際フォーラム(ISAP2009)のセッションに参加

photo01財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)は、2009年6月26日(金)及び27日(土)に神奈川県湘南国際村において、第1回持続可能なアジア太平洋に関する国際フォーラム(ISAP2009)を開催しました。

6月27日(土)に行われた、「持続可能なアジアのために環境人材育成はどうあるべきか」と題したセッションでは、幸田シャーミン氏をモデレーターに迎え、環境人材育成コンソーシアム準備会の概要を紹介するとともに、日本、中国、タイ、またアジア地域全体で行われている同様の産学官民連携による環境人材育成の取り組み事例を共有しました。

セッションの冒頭では、幸田シャーミン氏により、環境人材育成の活躍の場は、技術開発、技術移転、マーケットシステムの変換、自然との調和というアジア的価値観の継承、経済発展と環境保全の両立、政策立案等、アジア地域全体、国レベル、コミュニティーレベルと様々であることが説明されました。

その後、環境人材育成コンソーシアム準備会事務局長である森下研氏より、準備会設立の経緯の説明及び活動についての紹介がありました。日本の大学での環境人材育成において、大学間や学内外の連携が弱い現状を踏まえ、コンソーシアムでは環境人材育成に係る情報交換や交流の場を提供していくことが重要であるとの指摘がありました。

次に、名古屋大学の井村秀文教授より、中部環境人材育成コンソーシアムの設立に向けた名古屋大学の取組として、国際環境人材育成プログラムの紹介がありました。このプログラムは、修士研究やフィールドワークにおいて中部地域の企業や自治体、NPO等と連携した教育活動がプログラムの一部となっています。この地域連携をより円滑にするものとして、中部環境人材育成コンソーシアムの設立が構想されているとの説明がありました。

続いて、アジア工科大学環境資源開発スクールのS.クマール学長より、アジア工科大学における産学官民連携の取組についての紹介がありました。クマール学長は、産学官民のパートナーシップを構築するにあたり、パートナーシップに関する長期的なビジョン、財政基盤、成果の普及、担当者の能力が重要であると述べました。

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引き続き、同済大学に属する国連環境計画-同済大學の持続可能な開発のための環境研究所の李副学長より、国際修士プログラムのためのパートナシップに関する発表がありました。同プログラムでは、アジア地域のみならず、アフリカ地域の環境業務担当者向けのプログラムなど、全世界の学生や教員の参加により、さまざまなリーダーシッププログラムが実施されているとのことでした。

その後、国際連合大学高等研究所の名執芳博上席研究員より、持続可能性に関するテーマを大学院のカリキュラムに融合することを目的として設立された、アジア・太平洋地域の18の高等教育機関のネットワークであるProSPER.Netの取組が紹介されました。現在ProSPER.Netでは、①共同カリキュラムの開発と、学校での公共政策及び持続可能な開発の普及、②ビジネススクールのカリキュラムにおける「持続可能な発展」への理解の普及、③持続可能な開発のための教育者及び研究者のトレーニング、 という3つの主要な共同事業を行っています。

パネリストによる発表の後、国際連合大学名誉副大学、東京大学名誉教授であり、環境人材育成コンソーシアム準備会の代表幹事を務めている安井至氏より、環境人材育成コンソーシアムの在り方についての発言がありました。安井氏は、コンソーシアムは、多様な「サステイナビリティ」という概念の基本的考え方について、議論を行う場として有効であると述べました。また、コンソーシアムは、情報や経験を交換する機会や場を提供するプラットフォームの役割を果たすべきであり、実際に対面してのコミュニケーションが重要であるとの指摘がされました。

コンソーシアムを組織することによる環境人材育成のメリットは、個別の機関の連携による、組織全体の強化です。また、アジアにおいて、持続可能な社会を構築するには、企業の役割が大きいことから、コンソーシアムにおいても、企業との連携を強化する取り組みが重要であり、企業が参加するメリットを検討する必要があるというパネリストからの共通の意見を受け、新たなネットワーク構築や強化に向けて、引き続き尽力していくことが確認されました。