第2回セミナー:環境人材をどう育成するか~大学学部における「環境力」教育

日時
  • 平成22年2月19日(金)
会場
  • 大阪科学技術センター701号室
       〒550-0004 大阪市西区靱本町1丁目8番4号
プログラム
  • 14:00~14:05 開会挨拶 環境省
    14:05~14:55 講演 高月 紘
    (石川県立大学教授・生物資源工学研究所)
    『大学学部における環境教育のあり方』
    14:55~15:10 環境人材育成 
    コンソーシアム(EcoLeaD)準備会
    の紹介
    西村 美紀子
    (EcoLeaD事務局次長)
    『環境人材育成コンソーシアムについて』
    15:10~15:20 休憩
    15:20~15:50 事例報告① 大塚 耕司
    (大阪府立大学大学院工学研究科教授)
    『学部・大学院の実践型一貫教育による
    環境人材育成』
    15:50~16:20 事例報告② 上田 健作
    (高知大学教育研究部人文社会科学系人文社会科学部門教授)
    『社会協働教育による環境人材育成』
    16:20~16:50 意見交換会 大学学部における「環境力」教育などに関する会場全体での意見交換
    16:50~16:55 閉会挨拶等

    (敬称略)

photo012010年2月19日、環境人材育成コンソーシアム準備会(以下、EcoLeaD)は、連続セミナー「持続可能な社会の構築に向けた環境人材の在り方」(共催:環境省、及びEcoLeaD共催)の一環として、標記セミナー(於: 大阪科学技術センター)を開催しました。

まず初めに、高月紘氏(石川県立大学教授・生物資源工学研究所)より、「大学学部における環境教育の在り方」と題して基調講演をいただきました。高月氏は、ワーキンググループの座長を務められる、環境省主導のEcoLeaD「環境力を有するT字型人材育成プログラム構築事業」において、全国の大学での環境系科目の設置と幅広い普及を目的に、指針となるガイドラインを策定中である旨、報告されました。本指針の作成過程では、「知識」、「スキル」、「態度」をバランス良く醸成する必要性とともに、事象の関係性と俯瞰的視野の涵養が、重要事項に挙げられていると説明されました。また、環境教育では頭の中で理解しても行動には容易に結び付かない課題があることを受けて、野外活動やワークショップ形式の体験学習の有効性を指摘されました。さらに、環境教育の目標は、環境の諸問題を他人事ではなく、自らの生活との関連で理解して行動の意味を問い、持続可能な地域作りに主体的に参加できる人材育成であると述べられました。そして、学業やサークルで環境に熱心な学生の体験談を基に、彼らの原点には、大学での環境教育に加えて、幼小時からの自然との触れ合いや意識付けが彼らの原点にある大きく関わるとの認識をが示されました。


photo02次に、西村美紀子事務局次長より、環境人材育成コンソーシアム準備会(EcoLeaD)の活動紹介を行い、環境人材育成の推進に向けて、産学官民による連携・協力を呼びかけ求めました。  引き続き、環境省の「環境人材育成プログラム」の採択事業である、大阪府立大学及び高知大学の各取組について、事例報告をいただきました。大塚耕司教授(大阪府立大学)は、同大学の既存の環境系科目を分野横断型に束ね、実践的内容を加えた①学部レベルの「環境学(副専攻)」、及び②大学院の「国際環境活動プログラム」を、本年4月に開設予定であると紹介されました。新設する環境学の要素としては、社会科学、自然科学に加えて、幸福感や生命倫理を扱う人間科学を重視する姿勢を示されました。上田健作教授(高知大学)は、地域の現場で多様な人を繋ぎ活動できる人材育成を目標に、大学教員、企業、行政、NPOがコラボレーション協働して、学生を育てる「社会協働教育による環境人材育成」の取組を紹介され、専門性やリーダシップの育成に先駆けて、地域に対する貢献意欲の醸成に注力している旨、報告されました。

講演後の意見交換会では、先ず、地方大学における学生の進路について意見が交わされました。就職希望地に関する某アンケート調査では、8割程度の学生が地元の近隣都市で就職を希望しているにもかからず、地域産業の弱い地元でベンチャーを起こす仕組がないため、遠方の大都市に行かざるを得ないという現状報告がありました。また、学生の全般的な意欲向上が優先課題に残る大学からは、多方面で活躍する実務家を招き、その講演内容を基に学生同士で議論を行うと、本音で語れる仲間を得る効果を生むとの紹介がありました。その際、教員は、学生を信頼して問題を投げかける役割に徹すべきとされました。最後に、環境教育の推進には、何よりも教員の質が問われるが、解決方法としては、教員も学生も共に学び合い、磨きをかける精神の中に真の学びが内在するので、農村地域や企業の方々の教育活動への関与を含めて、学びの補完関係の仕組作りが不可欠であるとの意見が出されました。